
言葉は、少しの足し引きによって表現が大きく変わるということを学ぶことができました。
例えば、【1】の「雨」と「雨の朝」の違いについて、雨単体だと雨が主人公になるが、雨に時を表す表現(今回で言うと朝)を足すだけで、主人公が筆者に変わり、別の物語になるということが面白く感じました。
また、全体的に読み手への配慮をした文章の書き方の大切さについて学ぶことができました。自分では何気ない表現だったとしても、読み手にとって不愉快に思ったり、理解できないと思われたりすることがあるということを肝に銘じて、文章を考えることが大切だと学ぶことができました。
【1】
同じ「雨」を題材にした文章であっても、「主人公」が誰なのかによってタイトルが変わる。例えば、「雨」と「雨の朝」というタイトルがあったとする。「雨単体」が主人公である文章に「雨の朝」は似合わない。なぜなら、朝とは直接関係のない「雨」全般が描かれているためである。
逆に、「筆者の思い」が描かれている文章なら、「雨」にフォーカスを当てている文章ではないので、「雨の朝」というタイトルがふさわしい。
【2】
自分では当たり前だと思っている感情が、他の人にとっても当たり前の感情とは限らない。例えば、自分の生活スタイルについては、自分と近しい人でない限り、同意を求められても読者は困惑してしまう。また、自分の視点だけで感じたことを断定的に文字にしてしまうと配慮や謙虚さが欠けているように感じられてしまう。
会話でなら許される表現でも、文字にすると妙な感じで受け止められることが多い。
客観的に読み返してみて、配慮や謙虚さが足りているかどうか確認することが大切である。
【3】
何気なく使っている表現の中には、その意図がなくても人を傷つけてしまったり、不愉快な思いをさせてしまったりすることがある。
例えば、「地雷を踏んでしまった」という表現は、相手の怒りのポイントに触れてしまった際に使用されることがある。しかし、世界には、残留している対人地雷により、命を落としてしまう人たちがいるという悲しい現実がある。そのため、極めて不適切な使い方である。自分が使用する言葉や表現が、人を傷つけたり、社会的に感覚が疑われたりするようなものでないかを確認することが大切である。
【4】
季節の表現を取り入れるときに、「季節の先取り」をすることで一味違う文章にすることができる。例えば、夏の風物詩である「甲子園」を題材に文章を書くとしたら、「また、夏がやってきた」と表現するより、「まもなく、その夏がやってくる」という表現をすることで、これからクライマックスを迎えるという高揚感を読者に伝えることができる。夏の時点で夏のことを思い描くのではなく、春の時点で夏を思うことで、これからストーリーが始まっていくということを伝えることができる。
【5】
表現が全て過去形で描かれてしまうと、単調な表現になってしまう。筆者にとっては全て「過去」のことであっても、読者にとっては全て「現在」であるということを頭に入れておくことが大切である。
過去に現在を織り交ぜることで、かなり種を異にするし、さらに文章の最後に現在を置くことで、筆者の目を釘付けにするため効果的である。
「筆者としての眼」と「読者としての眼」を同時に持つことが、極めて有効である。
【6】
「個人的事情」は「言い訳」と捉えられてしまうことが多い。
自分にとって接点のないテーマを書くときに、最初から一歩引いた姿勢の文章があると、読者の関心は失われてしまう。しかし、「接点がない」という面だけではなく、別の側面からアプローチをすることで、読者の関心を繋ぎ止めることができる。
自分にとって接点がないテーマは、多くの読者にとっても接点のないテーマであることが多い。諸事情により、内容に不十分があるかもしれないという表現を用いることは、言い訳として受け取られる危険があるということを理解しておくべきである。
【7】
馴染みのない言葉についての課題が出た際、辞書で引いた内容をそのまま引用することは読者をがっかりさせてしまう。不確かな言葉を辞書でチェックするということは、真摯な態度であるが、それをわざわざ文章に表す必要はない。
ただ、辞書で引いた結果、自分とは別の考えや理解があった場合は、辞書の記述を正確に引用し、経緯を詳しく述べると効果的である。
【8】
何気なく使う表現に、「かなり」という言葉がある。しかし、「かなり」というような程度を表す表現は、人によって程度が違うため理解を得にくい場合がある。
例えば、「かなり知られた」という表現を用いた文章を読んで、「『かなり」という表現があるが、自分はあまり聞いたことがない』と感じる読者もいるだろう。
そのため、「かなり」という表現を使う時には、注意深さと謙虚さが必要になる。「自分が思っているほど知られていないのかな」といった虚な姿勢を持つことが、読者の理解を得ることに繋がっていく。
【9】
自分に関することを書くとき、何かと比較をしてしまうことが多いが、無意識に「上から目線の表現」になっていないかを確認した方が良い。自分にそのつもりがなくても、「上から目線である」と読者に捉えられないようにするために、細心の注意と最大の配慮が必要である。「素直に書かれた思い」というのは、人によっては筆者の意図と異なる受け止め方をすることがある。自分の書いた文章が、どんな広がりを持って受け止められていくのかを見据えて、文章を書くことが大切である。
【特集】
何気なく使ってはいるものの、改めて目を通すとどこか気になる表現がある。
○削除した方がスマートになる表現(カッコ内)
例)この春。孫が小学校に入(学す)る。
○いずれか一つの方が、すっきりする表現
例)[まず][手始めに]、この課題に取り組もう。
あげたのは一例であるが、「必ずこうすべき」というものではない。
前後の流れや、作品の特質などに合わせて、その都度適切な表現を選択すれば良い。
よく目にするという理由だけで、漠然と使うことは避けるべきである。
その都度、その場にふさわしい使い方であるか、再確認しながら書き進めていくべきである。
こういった細心の注意が、「気の利いた文章」に繋がっていく。
